人間が機械以下になっちゃってる
メールで「問い合わせ」をすると、すぐに自動で返信メールがくる。
「お問い合わせを受け付けました」とかなんとか。
とても迅速。サーバーは今日も正常に稼働しているようです。
その後、いくばくかの時間を経て人間からの返事がくる。
しかしその内容はテンプレを組み合わせてのピントのズレた内容。
電話で「問い合わせ」をすると、自動音声のガイダンスが始まる。
「○○のご用件の方は、1、を……」とかなんとか。
少々まどろっこしいですが、よくできたシステムです。お見事。
で、長〜いガイダンスの果てに「オペレーターにおつなぎします」と言って、
呼び出し音が鳴り始める。いつまででも鳴り続けている。人間は出てこない。
不具合やトラブルがあって、それを報告すると、中の方々がとても迅速かつ丁寧に対応してくれる。
しかし、「原因は何だったのか?」「今後はどうすればいいのか?」
といった質問をすると、これまたテンプレを組み合わせたような、ピントのズレた返事しか返ってこない。
壊れたロボット以下だ。
そこには確かに人間がいる。人間がいるんです。
しかし人間はベルトコンベアからこぼれ落ちた製品を拾ってベルトコンベアに乗せなおすことしかできない。
しない。する気もない。
もしかすると、しちゃいけないことにさえなっているのかもしれない。
自動化されたシステムありき。
人間はシステムを補助する付属物以下の存在に成り下がってしまっている。
そういう中で、こちらの意志を伝えるべく何度も問い合せを繰り返していると、
ひょっとして私は世間的には「クレーマー」ということになるのではないか?
と不安になってきます。
しかし、なぜそんなことで私が不安を感じなければならないのか?
巨大な自動システムの前で、私の「人間である」ということ自体が否定されているかのようです。
この「クレーマー」という言葉。
問い合せや要求を「する人間」を揶揄するお馴染みの言葉です。
しかし、揶揄する対象を取り違えているのではないでしょうか?
問い合せや要求を「する人間」がキ○ガイなのではなく、
むしろ話は全くの逆で、
組織やシステムの中にいる側の「人間」が、
マニュアル外のことに対応する能力(というより「意欲」)を失っているのではないか?
それは窓口担当の人間だけのことではありません。
世の中にいる私たち「人間」の側が全体的に、
「人間であること」を放棄しようとしつつあるのではないか?
何もかもが「組織的」「システム的」にスムーズに処理されることが目指されていて、
そこからこぼれ落ちる「不確定要因」が排除される。
何かちょっとマニュアル外のことを求めようとすると「クレーマー」と揶揄し、そうした行動を抑圧する。
システム通りに動いているうちは誰もがとても礼儀正しく親切だけれど、
そこから一歩外へ出て「人間として」姿を表すと、途端に排除されてしまう。
何もかもマニュアル(機械・コンピューター)に任せて、
人間をそこから排除しようとする精神衝動が世の中を貫いているような気がします。
人間はワガママで自分勝手でモンスター。
それにひきかえコンピューターのなんと従順なこと。
便利になりましたね〜。
しかし間違えるな。それは人間ではない。
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