外を出歩くのはとても疲れます。
他人がいるからです。
自分が道を歩く。向こうから別の人が来る。
さて、どう対処しよう?
もちろん、よけます。
右に? 左に?
答えが明確とは限らない。
道が狭い。相手が微妙な位置を歩いている。
ともかく自分の位置を決める。右か左か、どちらかに、ともかく寄る。
こちらの態度を決めてしまう。
相手が反対側へ寄ってくれることを期待して。
だけど期待通りになるとは限らない。
むしろ期待がハズレることの方が多い気がする。
自分が寄ったのと同じ方向に、なぜか、相手も寄る。
なぜ? 「あっち向いてホイ」の原理?
ほぼ同じタイミングならば、仕方がない。
向こうも同じことを思っているかもしれない。
ほぼ同じタイミング、なら、ば。
が、そうとも限らない。
なぜか、こっちが寄ったのと同じ側に、後出しジャンケンのように寄ってくる。
なぜ?
私の後ろから自転車か何かが来ていて、そちらへ寄らざるを得なかった?
地面に水たまりか何かがあった?
それとも嫌がらせ?
疑心暗鬼が募るばかり。
せめて目を閉じて歩いていてくれればいいのにと思う。
こっちの動きに反応しないで欲しい。
よけてくれなくてもいいから、ぶつかりにこないで。
むこうから人が来ていることに気付き次第、早めに自分の態度を決めるようにしているのですが、
結局、すれちがう寸前まで油断できません。
こっちが早めによけてあげたんだから、あとはそのまま真っ直ぐ歩いてくれればお互いにぶつからずに済む。
なのに、そのまま真っ直ぐ歩いて来てくれないことが、とても多い。すごく多い。ものすごく多い。
向こうからは、そもそも私の姿が見えていないのかもしれません。
だから「そのまま真っ直ぐ歩いてればお互いにぶつからずに済む」のに、左右にふらふらと動く。
そもそも私の姿が見えていないから、「まだ」左右にふらふら動いても大丈夫、と思っている、のかもしれない。
つまり、こういう順番でしょうか?
1、私が相手の姿に気がついて左右どちらかに寄る。
この時点で、相手はまだ私の姿が見えていない
2、相手が気まぐれに(?)左右にふらふらと動く。
結果、私が寄ったのと同じ側に来てしまう。
いくら自分がいち早くお互いの道を確保しても、
そのことが、相手にも伝わっていなければ、意味がない。
じゃあ、どうすればいいのでしょう?
ものすごく派手な格好をして、大声で歌を唄いながら歩けばいい?
1人リオのカーニバル。
縮めて、ヒトリオのカーニバル。おお、いいですね。流行らせよう。
ともかく、ヒトリオのカーニバルが一般的な風習として根付くまでは、静かに歩くしかありません。
さまざまな困難はありますが、やはり、
前方から人が来ていることに気付いたなら、よけないわけにはいきません。
だって気付いちゃったんだもん。
後ろからも人が来ているかもしれないから、あまり不用意に横に動くわけにもいきません。
神経が磨耗します。
前方の曲がり角から人が現れて、私に向かって直進されると、切なくなります。
あの人には、私が歩いていることが見えていない。
よけるのは私。
後ろからも誰かが来ているかもしれないから、確認した上で、前方の 彼or彼女 をよける。
私がよけなかったらどうするつもりだったの?
別にお互いに高速移動しているわけじゃないから、仮にぶつかったとしても怪我はしないだろうけれど、
ぶつかりたくはないでしょう?
よけるのは、やぶさかじゃないんです。1回1回の動作はさほど多くのエネルギーを要しません。
自分からは絶対によけないぞ、などと意味不明な虚勢を張りたいわけではありません。
だけど、どうして、あなたがたは、こんなにも、非協力的、なのですか?
外を歩いていると、昔のアクションゲームを思い出します。
自分以外全員敵。
こちらから攻撃する手段は、ほぼ、ない。
ぶつかると(自分が)死ぬ。
こちらの動きに無関係に動き回る敵もいれば、こちらの動きに反応してぶつかってくる敵もいる。
不思議に思うこと。
私はこんなにも神経をすり減らしながらでなければ外を歩けないのに、
他の人は、どうやら、それほど神経を使うことなく歩いていて、
それでいて、ぶつかることは、ほとんど起きていない様子。
なんで、おまえら、ぶつからないの?
そんなテキトーに歩いてて、
なんで、おまえら、ぶつからないの?
思わず、次のような仮説を思い浮かべてしまいます。
何か、人間同士をつなぐ、目に見えないネットワークのようなものが存在していて、
そのネットワークに接続しているユニット同士は、ぶつからずにうまく歩くことができる。
どうやら私は、そのネットワークにつながっていないらしい。
そういえば最近、携帯端末を見ながら歩いている人が多いですよね。
あれが、そのネットワークなのでしょうか?
あれを持って歩いていると、前を見なくてもいい。
あれを持っていれば、ネットワークの導きがあって、前を見なくても、人にぶつからなくてすむ。
そうなんですか?
携帯端末だけじゃなく、耳にイヤホンを入れて歩いている人も時々見かけますよね。
外を歩くときに、わざわざ聴覚を遮断するなんて、
「私は、あなたがたの気配に気付く努力をしません。あなたがたが私にぶつからないように配慮してください」
と宣言しているようなもの、けしからん!
と、テクノロジーに疎い私は思っていたのですが、
実はあれも、人にぶつからないためのネットワークに接続する装置なのかもしれませんね。
「けしからん」どころか、他人への配慮ゆえの行為だった。誤解しててごめんなさい。
そうなんですか?
> 何か、人間同士をつなぐ、目に見えないネットワークのようなものが存在していて、
> そのネットワークに接続しているユニット同士は、ぶつからずにうまく歩くことができる。
そういうような何か、は、実はあるんじゃないのかな、と、
わりと本気で思います。
いわゆる「空気」と呼ばれているもの。
それを共有するためのネットワーク的な何か。
インターヒューマンネット。
言わなくてもわかるでしょネット。
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