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◆◆ したこと: ◆◆

        デ中略ァン720mg(メ○コ●)体験レポート
        
        
        みなさん、こんにちわ。愛してます。
        というわけで久々にイッてキました。
        本当に帰って来れてるのかな?
        一時はイキっぱなしになるのではないかと思ったこともありますが、多分帰ってきてます。愛してます。
        現時点で摂取から27時間ほど経過しておりますが、
        まだ立ち上がると体が異様に軽くて身の危険を感じるほど。今日は誰に言われなくても外出自粛です。
        瞳孔はまだガバガバで目ブレは収まらずキーボードの打ちにくいこと。
        なお、例によって肩コリは全快です。素晴らしい。
        
        さて、いつものように、悪い子がマネしないように具体的な物質名等は伏せ字にし、
        ご存知の方にだけ伝わる方で、事故防止(harm reduction)や情報共有を兼ねてお送りいたします。
        
        というわけで、この内容は「フィクションということになり」ます。よろしく!
        あ、あと法律に違反するようなことは一切していないと断言しておきますよ!
        
        
        
        ■ 目的
        
        基本的には前回と同じです。
        デ中略ァンの解離効果を利用して擬似的にニルヴィカルパ・サマーディの状態に入り、
        元因領域までイッて神とやらを殴ってやろう、ということでございます。
        なぜこの世はこのようなのか?
        なぜ無ではなく有なのか?
        なぜよりにもよって、感覚を持った存在が苦しまねばならないような宇宙にしてしまったのか?
        2、3発殴る程度で許すつもりなどありません。
        牛乳を拭いた雑巾を机に入れ、上履きズックは防火バケツで水浸しの刑です。
        さらに事と次第によっては体操服をハサミで切り刻んでやる所存であります。黒板に悪口を書くことも辞さぬ覚悟で臨みます。
        神だかなんだか知りませんが調子に乗りすぎなんですよ。一度シメてやらないと。
        
        それに加え、今回は『学園棋神伝マインドル』の件でも聞きたいことがあったのでした。
        これを私にどうしろというのか?
        石川県某所に在住の無名の木下某とかいう一介の人間にこれを作らせたって知れ渡るようになるわけがないではありませんか。
        今までの人生を振り返ってみると、結局のところ「私」にこれを書かせるために全てが配置されていたように思えてなりません。
        どういうわけか「私」に「私」という意識があり、生存のために苦しまねばならない。
        その点については「私」以外の認識主体の皆々様方もご同様のことと拝察いたします。
        具体的個別的な人生の生き様はそれぞれであるにせよ、そうした基本構造自体は「私」に限らず普遍的なものであるはず。
        ただ、その苦しみの度合いが高すぎても低すぎても、それについて記述を進めていく際のバランス感覚に影響が出る。
        「私」ぐらい中途半端で恥ずかしい人生を送った人間じゃないと、なかなか「こう」はなりにくい気がいたします。
        しかし、「私」に書かせたってですね、その後、ドウニモナランわけですよ。
        ちょっと何と申しますか、手が込んだ策を巡らせたようで、その割に、采配に手抜かりがあったんじゃないかなと申しますか、
        やっぱり神とかいう人(?)はアホちゃうか、と、こう思うわけでございます。さてはツッコミ待ちか?
        
        
        ■ ドースについて
        
        今回は有効成分で換算して720mmです。
        日本でOTCで購入できるコ●タ●クWで言うところの一箱分ですね。
        これが何を意味するかと申しますと、プラトーで言うと第3の後半ぐらいを目がける狙い。
        いずれ一度は第4を目がけてイきたいとは思っておりますが、前回は540mmでしたので、少しずつ増やしていきます。
        
        
        ■ 摂取方法
        
        すでに定番の白がゆメソッドを使用。
        おくすりを直飲みすると胃が刺激されて吐いてしまう → 胃に悪い & 歯に悪い & おくすりもったいない
        というわけで、事前に白がゆを食べておくことで胃壁を守るわけですね。
        胃腸の動きも活発になって吸収も促進される。まさに一石二鳥。あ、鳥さんに石を投げちゃダメですからね?
        

        途中で寝落ちしないようにたっぷり睡眠をとった上で胃を空っぽにしておき、
        レトルトの白がゆをおナベでコトコトあたためてイタダキます。
        その約15分後、メ錠48錠を(ちまちま一粒ずつ数えて)ぬるま湯でイッキ飲み。
        しかし毎度ながら錠剤を数える作業が死ぬほど面倒くさいですね。
        他の皆さんは本当にちゃんと数えてるんかな? エライなぁ。これだけで悟りが開けてしまいそうですよ。
        いやむしろ悟りを開いてる人じゃないとヤッちゃイケないということか?
        鶏が先がタマゴが先か。お風呂が先かご飯が先か。ドキドキの禅問答。
        
        
        ■ 開始〜効果発生まで
        
        前日は睡眠を多めに取っておくつもりが、目が覚めた直後のパソコンのタイマーによると5時間ほどしか経過してないらしい。
        分量的には今ひとつ不安。二度寝を試みるも、寝れそうにない。眠気はないのでこのまま決行することとする。
        熱いシャワーを浴びて完璧に目を覚ます。
        
        で、おナベで白がゆのレトルトを温めるなどしつつ、
        いつもながら、飲む直前まで「え〜、ヤルの? マジで? 今なら引き返せるよ?」とグダグダ思っている。

        白がゆを食べた後はもう流れ作業。
        待機→時間来ちゃった…→錠剤を淡々と数える(数え終わちゃった…)→水温める(お湯できちゃった…)→おくすり飲む
        
        飲んだ直後からイキナリ若干吐き気があるようなないような?
        錠剤のニオイがキツイですな。人によってはあの匂いを嗅いだだけでエズくというのも頷ける話。
        これまたいつもながら、飲んだ直後は実感がない。
        直後というか、「飲む」と決めて、錠剤の数を数えるなどの直前の作業に入ってからが妙に淡々としていて現実味がない。
        実は既に飲んでいて、幻覚の中で飲む作業を繰り返しているのではないか? とかなんとか。
        
        洗面所&トイレのドアは開けっ放しにしておく。電気もつけっぱなし。
        寝床との経路上に踏んで滑るものなど危険なものがないことを確認。
        トリップ中の食料として、パンを一口サイズに千切ったものをキッチンペーパーに並べておく。
        吐き気が来たときの対策として、きな粉ジュースを作っておく。
        吐く前にこれを飲むことで、歯を胃液の酸から保護するのが目的。
        ハサミはビニールテープでぐるぐる巻きにしておき、包丁もキチガイの手の届かないところに片付けておく。
        念のため、枕元にゲロ袋も用意。
        近所の駐車場の車が通るたびにキンキンやかましいドブ板も前々日の夜にこそっと直し済み。

        セッティングは完璧。
        
        効き始めるまでどうしようかな? いつも何してましたっけ?
        アニメとか観てたような。
        Twitterが気になるというのは今までにない要素ではある。
        が、体験中Twitterは見ないと決意しているので見ない。不退転の決意で見ない。
        
        
        ・00:00 〜 00:20
        ブラウザで将棋(『将皇Lv1』)。勝てた。まだ脳は正常。
        CEVもなし。
        
        
        ・00:20 〜 00:30
        CEVに目立った変化はなし。
        シラフのときよりは光の点が飛び交うような? 気のせい?
        暗闇に奥行きがあるようなないような。
        暗闇に意識を集中すると引き込まれるような、何かが浮かび上がってくるような……。
        まだシラフでの瞑想と大差ないっちゃない。
        
        
        ・00:30 〜 00:45
        具体的な変化はないけれど……
        このまま何も起きなければ……残念ではあるけれど、それはそれでいいのかな。
        なんて、これもまたいつも思うこと。
        某ワスカと違ってブツがケミカルですから、効かないってことはないはず。多分。ドキドキ。
        そう、なんか妙にそのドキドキ感が募ってくる。あ、心拍数に異常が、ということではないっす。
        深呼吸をすると、息がほのかに薬くさい。
        
        
        ・00:45 〜 00:50
        立ち上がってみる。少しフラついている? 足元に恐怖感。
        転ばないように気をつけて洗面所へ。鏡で瞳孔確認。まだ開いてはいない。
        念のため小用を足しておく。身動きができる今のうちに。
        足の裏の床の感覚が心許ない。
        戻ってきて窓の外の天気を見る。
        身を屈めて窓に顔を近づけようとした際、ぐいっと顔が窓に接近。危うくぶつかるかと思った。
        身体のふんばりがユルんできている。視覚の距離感も怪しい。これは危険。気をつけよう。


        ・00:50 〜 01:00
        サイケ系のトランスをBGMに瞑想を試みる(Shpongle、Entheogenic、Astral Projection、Ott 等)。
        座って背筋を伸ばしているのが少々つらい。
        キーボードを打つ手が少しふるえている? ブルブルというよりフワフワ。指の狙いが定まらない感じ。
        この時点で吐き気や下痢が来ないってことは、すでに白がゆメソッド大成功ってことでいいのかな?
        
        ・01:10
        上の四行書くだけで10分近くかかってる。いつもどおりっちゃいつもどおり、か……?
        タイプミスしまくる。いつもどおりっちゃいつもどおり、か……?
        手とキーボードが巨大に見える。いつもどおりっちゃいつもどおり、か……?! 大爆笑。

        瞳孔やや開き気味。
        足元がおぼつかない。洗面所への行き帰りが冒険味を帯びつつある。
        あー、もうアイマスク装着して横になろう。
        
        
        ・01:45
        すでにりりくずみ
        (↑ささっとタイプしてアイマスク+おねんねに戻った)
        
        以下、シラフではなくなり、こうした時系列に沿った実況的な記述は不可能となります。
        
        
        ■ 離陸
        
        前回同様、頭の後ろの方から光の輪のようなものが次々と表れて前方へ移動し、トンネルのような形状になる。
        なるほどやはり臨死体験などでよく言うトンネル現象と言うやつかな?
        身体から脳への信号が減っていくことが脳内ではトンネルのような形状で表現される、とかなんとか。
        同様のことは麻酔剤のケ●ミンでも報告されていると聞き及んでおります。(※ケ●ミンは一般民には違法)
        デ某ァンも作用機序が近い(NMDA受容体拮抗作用)ので根本的には同じなのでしょう。
        解離(dissociation)と体外離脱との類似点がここにあるというわけですね。
        
        で、どうすんの? トンネル。入るの? 入らないの?
        そりゃもちろん入りますとも!
        
        視界が前方へ流れていく。暗闇が周囲から押し寄せてくる。前方に光が見える。少しずつ大きくなってくる。
        そしてトンネルを抜けると……満天の星空! 宇宙空間か?!
        
        さて、今回もこうして無事に「効果が出た」わけだ。この安定感は、さすが化学物質と言ったところですかね。
        うーん。さしあたりそのようではある。
        
        この時点で吐き気も下痢もないってことは、やはり白がゆメソッド大成功と言うことなのでしょう。
        若干、手足の末端や頭皮がビリビリするような感じがある。
        無意識に頭を掻いていた。
        おそらくこのまま「自分の身体」に執着していると、それが「かゆみ」に変化していくのではないか?
        デ某ァンで痒みに襲われて大変だったという話をしばしば聞きます。それは御免こうむりたい。
        思い切って身体のことを「忘れ」よう。すると末端のビリビリ感もすぐに気にならなくなってきた。よし。
        
        一応、離陸はできたみたいではあるけれど……。
        何? 何か不満でもあるの?
        とりあえずイロイロ見て回りたいかな。
        はいはい。
        
        視界が変転。見たことがあるようなないような街の景色。
        大通りから川沿いへ。そして広場へ。天気はいいみたいだけれど空が暗い。夜なのかな?
        桜が満開だ。「現実」ではすでに葉桜ですが、こっちでは今が盛りのよう。
        しかし人がいない。
        桜の咲き乱れる場所にも、ここに来るまでに通った駅前のような場所にも人っ子一人いない。
        もしやこんなところにまでコロナの影響が。
        
        
        その後もひたすら支離滅裂な景色が次々と変転。これについてはいつも通り。
        ただ今回特筆すべきは、身体の感覚がほとんど、あるいは全くなかったこと。
        今までは何だかんだ言いつつ、「実際には自分の部屋で寝ているだけ」という感覚が常にあった。
        今回ももちろんその自覚がないわけではない。
        しかし、「そんなことはどうでもいい」という感じ。
        両手を胸の上で組んでいるのか、体の両端に投げ出しているのか、すぐに感覚がなくなってしまう。
        足を伸ばしているのか、膝を曲げているのか、すぐにわからなくなってしまう。
        金縛りに近い感じ。
        動こうと思えば動けるが、動き方を忘れている。
        もしかして死んでるんじゃなかろうか? と心配になり深呼吸をしてみる。確かに息をしている感じはある。うむ。
        NMDA拮抗系の麻酔剤は呼吸抑制作用がないからこそ、設備の乏しい途上国などでの医療に欠かせないのだとか。
        だから、この程度のデ中略ァンそれ自体で死ぬことはまず有り得ない。
        他に常用してる薬があるわけでもなし。
        身の回りに危険なものを置いてあるわけでもなし。
        安心してイって参りましょう。
        
        意識だけの存在になって、さまざまな空間を支離滅裂に飛び回る。
        やっぱりちょっと全体的に「暗い」なぁ。
        身体感覚がないという点では 540mm→720mm の効果が出ているということだと思いますが、これはどういうことなんだろう?
        ずっと日陰から日の当たる場所を覗いているような感じ。
        見えていないわけではない。
        視覚的な表現としての強度は落ちたものの、存在を感知するという点に特化しているということかな?
        
        たまに人を見かけるけれど顔がない。話をすることもできない。
        繁華街。ビル街。住宅街。集合住宅のような高層の建物。
        直前まで人が住んでいた様子でもあるが誰もいない。
        時間が止まっているような。あるいは打ち捨てられた廃墟のようにうら寂しい。
        
        誰か会いたい人はいないの?
        こっち側に来てるわけじゃないだろ?
        いるよ。こっち側にはこっち側の形で。
        マジですか。
        会いたいって念じれば会えるよ。
        そっか……。でも別に、特に会いたい人ってのもいないからなぁ。
        
        などと言っている間にも次々と目まぐるしく景色が変転している。
        街の上空へ。車の行き交う大通りが不意に暗くなり、川のようになる。(人はいないのになぜか車は動いている)
        水の流れが生々しい。いつしか辺りは森の中。
        川は右側を流れている。やはり「川向こう」ということなのか。
        生い茂る木々の間をくぐり、空に浮き上がって森の上空をすべっていく。前方に輝くのは……海か!
        
        自然の景色には誰もおらず、街も打ち捨てられた廃墟のような寂寞感が漂う景色ばかりでしたが、
        ずっとそばに誰かがいて導いてくれているような気配があり、孤独感というものはありませんでした。
        延々と誰か(1人〜数人)と会議をしていた感じ。
        
        街であれ自然の景色であれ、夜か明け方の薄明かりのような光景が多い。
        が、それもまた風情があってよろしい。
        この懐かしさは何だろう?
        
        満天の星空の下、どこまでも続く大草原を、トロッコでレールの上を滑るように移動する。
        
        で、これからどうする?
        えーっと……。
        
        何か聞かなければイケないことがあったような……。
        ところで私って「この中」の誰だっけ?
        あいつだよあいつ。
        うん、その、石川県某所在住の木下某ってやつだよね。それは「知って」るんだけど……。
        ああ、そういうことにしてあったんだっけね。
        
        自分がどこの誰で、今までどのようにして生きてきたのか? なぜ今回「ここ」へ来ることにしたのか?
        無数にある作り話の一種のように他人事のように感じられる。
        そもそも直前に薬を飲んだ行為からして、理由がよくわからない。
        私の意志ではなく、むしろ「呼ばれて」来たのではないのか?
        
        そんなことより、せっかく「こんな状態」なんだし、他に見たいものがあるんじゃないの?
        そのうちまた戻らなきゃいけなくなるんだし、行きたいところがあるなら早めにした方がいいよ。
        えーっと、じゃあとりあえず地球から出よう。太陽系の外へいこう!
        なにそれ。発想が貧困。
        地球に長居してたらそんなふうにもなる。誰のせいだと思ってるんだ。
        オッケー、じゃあとりあえず行きますか。
        
        上昇感。星の海へ。
        一面の真っ白な空間。宇宙って黒じゃなくて白だったのか?
        
        その間も「おしゃべり」は続く。
        妙に「メタ的?」というか、外側へ外側へと再帰ループを遡るような感覚の会話が多かった。
        
        宇宙は3〜4人程度で回しているスキームで、そんなに大昔から続けてるってわけじゃない、とかなんとか。
        大昔から続いているように見えるのは、内側から見たときの錯覚なのだ、とかなんとか。
        今回のはそろそろ終わりだねぇ、とかなんとか。
        人間を「じょせい」と「だんせい」に分けるってのはなかなかケッサクだったね、とかなんとか。
        あんな不便なのが進化の必然だとか、何か無理がある説明だなって実は内心思ってただろ? とかなんとか。
        でもまぁ「ロマンス」ってオモシロかっただろ? オモシロくねぇよクソが。とかなんとか。
        
        今に始まった話じゃないという気はする。
        私もこの「スキーム」に関係している?
        言われてみれば思い当たるフシはある。
        
        両親の顔が思い浮かぶ。今までずっと「私」の家族を演じてくれていたのだ。
        道理で何かおかしいとは思っていた。
        幼少期の記憶の中で、ずっと忘れていたけれど、今思うと不可解に思えるような記憶がいくつか蘇る。
        なんで忘れてたんだろう?
        あの場所にあったビルはいつの間になくなった?
        あのビルの途中に書いてあった「○(←フォントに存在しない漢字のような文字)」って文字はなんだったんだ?
        だからキミにも他人事じゃないってことだよ。
        そりゃそうだ。「地球」で「自分」として生きるってのはなぁ、もう筆舌に尽くしがたいことなんだぞ。
        気がついたら「自分」がいて、生存ために追い回されて……
        必ず死ぬのに、何のために生きているのかも分からず……
        自殺することもできず、無目的に生存を続ける苦しみで……
        わざわざこんな茶番を仕組んで地球のあいつに『学園棋神伝マインドル』まで書かせて、それでどうしようってんだ。
        うん、だからさ、キミもこれでよく分かっただろ?
        ええ、ええ、よく分かりましたとも。こんなことを一体いつまで続ける気なんだ?!
        そろそろイロイロ限界かなとは思うんだけどね……
        
        
        ■ 06:35
        
        ふと目が覚める。
        寝ていた? いや違う。整理して思い出すのは難しいが、鮮明に覚えている。
        ぶっ飛びまくっていた。
        アイマスクをずらすと窓の外からの白い光が目を射る。しかし焦点は合っておらずブレブレ。ガンギマリだ。
        どうやらまだ生きているらしい。
        身を起こそうとする。手足に力が入らない。立ち上がるのは不可能。
        焦点の定まらない目で懸命にPCの画面を見る。
        再生させっぱなしにしていた長時間ホワイトノイズの再生時間を見ると、約6時間半経過していると分かる。
        そんなものか。長いような短いような。
        というか「今」が「いつ」なのかがよくわからない。
        
        体験中はTwitterは見ないぞ! などと事前に決意するまでもなく、そんなことはすっかりどうでもよくなっている。
        このブレブレの世界の方が「現実」だということを頭では理解しているものの、「そんなことはどうでもいい」と感じる。
        どうでもいいというか、それなりに重要ではあるものの、計画は向こうでしてくれているし、
        「こっちの私」は「こっちの私」でさしあたり「居る」のだろうし、
        なるようになるのだろう、と妙に覚めたところで「知っている」感じ。
        
        全身の皮膚が厚ぼったく痺れていて感覚がない。
        なるほど、麻酔中という感じ。
        
        さて、私は「こんなことをしている場合ではない」のだ。
        アイマスクを装着し、再び離陸。
        
        
        ■ 06:35 〜 12:00
        
        その後も目まぐるしい変転はひたすら続く。
        生まれてきた意味も分からず、死ぬこともできず、生きるために苦しみ続ける。
        だからせめて愛し合いたい。
        どうかお願いだから。
        苦しみを笑わないで。耳を傾けて。
        どうかお願いだから。
        
        
        ■ 〜15:26
        
        おなか空いたなぁ。
        しかも布団がなんかおかしい。
        ブレブレの視界と前後も上下も分からない身体感覚の中で身を起こし、乱れた毛布を直す。
        しかしわけが分からない。
        焦点が定まらないながら、手に持ったそれが毛布であることは分かる。
        が、何かもう、本当に、「わけが分からない」。頭の上にハテナマークが大量に並ぶ。
        どっちが前なのか横なのか、一体どうすればいいのか。わかるようでわからない。
        見当識がヤラれている感じ。
        
        自信は持てないながら、毛布をどうにか「それっぽく」直して「よし」とする。
        宇宙を作った神とか言う人が最初にイロイロ「あれ」と言って「よし」と言ったのも案外そんな適当な感じだったりして。
        
        食事に行くべきか行かざるべきか?
        おそるおそる立ち上がってみる。うっ、これは無理。まともに歩けない。台所がはるか彼方にボヤけて見える。
        この状態であんな遠方に行くなんて命がいくつあっても足りない。
        
        効果はかなり抜けてきた感じではあるものの、まだまだ心身ともに「あっち側」に片足突っ込んでいる状態。
        結跏趺坐で座って背筋を伸ばして瞑想をしてみる。
        おお……。
        一瞬で身体の感覚が消えてガンギマリになる。
        目を閉じても「閉じている」という感じがまったくない。
        白い石膏の壁に囲まれた広い部屋にいる。
        いつまででも座っていられそう。
        今度は敢えてロードースで瞑想の補助にしてみようかな。邪道の極みですが。
        
        とかなんとかグダグダしているうちに立てるようになってきたっぽいので、
        慎重に慎重に、コース取りを計算しながら手足を動かして、台所への摩訶不思議アドベンチャーを敢行。
        吐き気がないことを確認しつつ、用意しておいたパンときな粉ジュースをいただく。
        吐く心配はなさそうなので、きな粉ジュースは普通に飲み物としておいしくいただきました。
        うまい。妙にうまい。
        少しだけにしておくつもりがパン3枚分ほどガツガツ食ってしまった。
        
        洗面所で鏡を見る。瞳孔はガバガバ。指先が入りそう。
        しかしヒドイ顔だな〜、髪はボサボサだし、唇ガサガサだし、誰だコイツ、ってハイハイお約束。
        
        ハミガキを済ませ、小用を足し、慎重に寝床に戻る。
        アイマスクをつける。まだ効果は消えていない。
        どこかの地下室のような空間が見える。きっと宇宙のどこかにその場所があるのだろう……。
        
        
        ■ その後
        
        完全に効果が消えてはいないことは身体のふらつき加減を考えれば明らか。
        ひとたびアイマスクをつければ「見えまくり」ます。
        しかしそれもマイルドなものとなり、やがて眠ってしまった模様。
        
        目が覚めると外が再び明るくなっておりました。
        
        
        ■ 反省と今後に向けて
        
        読み返してみるとイロイロ恥ずかしいですね。
        しかし体験レポートとはそういうもの。ゆえにこれで正常と言えましょう。
        本当はもっとイロイロあったんですが、これぐらいが私に文章化できる限界です。
        
        映像的な派手さという点では前回の540mmのときの方が見応えがあった。最近ハヤリのナントカ映えしそうな感じ。無理ですけど。
        今回はそれよりは観念的な内容だった気がいたします。その意味ではより深いところまでイケたという気はいたします。
        身体感覚がほぼ完全に消える時期があったというのも興味深いところ。
        思わず "I am more than my physical body!" とアファーメーションしたくなっちゃいますね。
        科学的には脳内の幻覚ってことになるのかもですが、私は学者じゃないのでそんなのはどうでもいいこと。
        こういう体験を自分の中でどのように意味づけしていくか?
        死んだ後、さしあたりはああいう場所に行くんじゃないかなぁ、という印象が
        私の中で「既知」のものとなってきているような、そうでもないような。
        しかしそうなのだとしても、それらを引っくるめた一切は一体何なのか。なぜ無のままではいられなかったのか。
        
        ところで、この量で身体感覚が消え始めるということは、
        これ以上量を増やすのは危険かもしれない。いや既に危険なんですが。
        日本のOTC版のコ(中略)Wでの「一箱」がこの量、であることの意味を噛み締めたいところ。
        
        瞑想との組み合わせで効果を増強できるというのも面白いですね。
        人にオススメできるような方法ではありませんが、要は、方向性は近いものがあるということではあるのでしょう。
        意識を保ったまま身体の感覚を消し、精神の世界を探求する技法。
        その意味では、薬物の力を借りなくても探求の方法はあるのかもしれません。と、お利口さんっぽいことも少しは言っておく。
        量を増やせばいいってモンじゃないだろうなとは思います。
        
        今回、プラトー的には前回同様、第3後半〜第4入口ぐらいまではイッたのかな?
        休薬期間のガイドラインはプラトーx(かける)週。最低でも1ヶ月はお休みということになります。
        と言いつつ前回は1年近く開けちゃったんでしたっけね。

        白がゆメソッドも安定してきたことですし、もうちょっと頻繁にやってみたいという気持ちもあるものの、
        あんまり頻繁にやってたら身がもちません。やはり実弾の物量を増やさない方向を模索するべきかな?
        ちなみに肩こりは全快したものの、なぜか腹筋が筋肉痛です。
        なぜだ? 手足が頼りにならない分、変に力が入ってたのかな?
        その他の後遺症はこれを書いている間にもだいぶ収まってきましたが、まだ何かフワフワ感が残ってますよ?
        そういえば前回は翌日以降も1週間近く離人感が残って大変だったのでした。
        今回は果たして無事に社会復帰できるのでしょうか。まとまった休みが取れるときじゃないとヤレませんね。
        
        
        良い旅でした。
        ではまた、生きていたらお会いしましょう。
        今日もあなたが幸せでありますように〜。
        
        
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        →関連アーカイブ「トリップ体験レポート集」
        
        
        
        ・追記:一日後の様子
        今のところ離人感のようなものの兆候はナシ。
        景色が美しく見える現象は今回は特にないかな。音楽はキレイに聴こえる気がします。
        それにしても体が軽い! 歩いていると足がズンズン前に出る。
        気のせいか視力がアップしている気がする。遠くまで細かく見える!
        まるで生まれ変わったよう。これだからヤメられませんね。