「たとえ神が許しても仏が許しても、皆月多恵子が許さない。この私が許さない!」
何だ? 何だこれは?
俺は今、一体何を見ているんだ?
「同じ地球の地面を歩いて、同じ地球の空気を吸ってる限り、この地球上に私に関係ないことなんて一つもない!」
「急に大声出しやがって、びっくりさせやがるぜ……! くそっ、ここまで堂々と自分勝手なこと言うやつは初めてだぜ」
自分勝手? いいや、違う。これはそんなんじゃない。
強いて言うならば "皆月多恵子勝手" とでも言うべきだ。
同じこと? いいや違う。大違いだ。
なぜならこれは、先輩にしか言えないことだからだ。
菓子パン一つ買うような日常の些細な行動のたびに地球の命運を背負っている先輩にしか言えないことなのだ。
人知れず何度も何度も地球を救っている先輩だからこそ言えることなのだ。
地球上のあらゆることは先輩に関係のあることなのであり、その先輩の目の前で人が不幸になるようなことは断じて許すわけにいかないのだ。
先輩がまぶしい。力強いが、それでいて温かな光が見える。人の幸せを願う意志が力強く光を放っているのだ。
俺の知らない間も、先輩は一人でずっと考え続けていた。
時間が必要だったんだ。