「陰之内、頼む。ここを通らせてくれないか? 俺は、宇宙へ行かなければならないんだ」
「何のために?」
「先輩が宇宙にいる。おまえも知ってる生徒会長の皆月先輩だ。
俺は先輩を迎えにいかなければならないんだ」
「ダメだね。行かせるわけにはいかない」
「あんた、やっぱり邪魔する気なんじゃない!」
「あれは危険な存在だ。そして不要な存在だ。
心を持とうとする人間など、この地上には存在してはいけない」
「あんた……!」
「人間は心を捨てなければならない。
それができない者は自殺するか、さもなくば宇宙へ放逐されるか。二つに一つ。
それが人類が次の段階へ進化するために必要なことなんだ」
それができない者は自殺するか、さもなくば宇宙へ放逐されるか。二つに一つ。
それが人類が次の段階へ進化するために必要なことなんだ」
陰之内は表情を変えることもなく、静かな確信とともに言い放った。
「陰之内、おまえの考えはよくわかった。だが今この場でおまえと議論する気はない」
「機会を改めて議論をすれば僕の考えを変えさせることができる、とでも?
そういうことも可能性としてはゼロとは言い切れないね。人間の心とは不確かなものだからね。
だが、これは僕やキミがどう考えるか、ということとは無関係なことだ。
頭の中でいくら高尚な思想を考え出したところで、現実の物理世界は1ミリも変化しない。
認めたまえ。人間の心は無意味」
そういうことも可能性としてはゼロとは言い切れないね。人間の心とは不確かなものだからね。
だが、これは僕やキミがどう考えるか、ということとは無関係なことだ。
頭の中でいくら高尚な思想を考え出したところで、現実の物理世界は1ミリも変化しない。
認めたまえ。人間の心は無意味」
陰之内は懐から携帯端末を取り出した。
「僕が警備員を呼べば、キミたちはここからつまみ出されるだろう。キミたちの意志とは関係なく、ね」
携帯端末を持つ陰之内の指が動く。画面を操作しているのだ。
残念だが……ここまでか。ここまでなのか。
「キミが宇宙へ行って帰ってくるつもりがないというのなら、それはそれでいいのだがね。
しかしキミは僕の大事な友人だ。僕とともにこの地上で人類の進化を見届けようじゃないか。
自己意識を持つなど無意味。キミにもそれを学習させてあげよう」
しかしキミは僕の大事な友人だ。僕とともにこの地上で人類の進化を見届けようじゃないか。
自己意識を持つなど無意味。キミにもそれを学習させてあげよう」