「あーあ。やっぱり買っちゃったのねー。ダメ人間製造機」
「なんだ? 羨ましいのか? 頭を下げて頼めば少しぐらい使わせてやらんこともないぞ」
「結構でーす。私はそんなウソの世界にかまけてられるほど暇じゃないんです」
「ふん。"現実" に魂を縛られた旧人類め。どうやら科学の進歩についてくることができんらしいな。
せっかくさまざまな世界を体験できるようになったというのに、このテクノロジーを活用できんとは可哀想なやつだ。人生損してるぜ」
せっかくさまざまな世界を体験できるようになったというのに、このテクノロジーを活用できんとは可哀想なやつだ。人生損してるぜ」
「たしかにすごい機械だし、使い方によっては有意義なのかもしれないけどね。
だけど、どうせアンタの場合くっだらない世界ばっかり見てるんでしょ?
たとえば、かわいい女の子を自分の周りにはべらせてウハウハ~、とか」
だけど、どうせアンタの場合くっだらない世界ばっかり見てるんでしょ?
たとえば、かわいい女の子を自分の周りにはべらせてウハウハ~、とか」
「自分が相手にされないのがサミシイからって、ひがみやがって」
「え……? もしかして本当にそんなことしてるの? 信じらんない! キモイ!」
「なんだよ。おまえだってどうせ映画やテレビで顔のいい男を見てデレデレしたりするんだろ? それと何が違うんだよ?」
「そりゃ映画やテレビドラマぐらい見るけど、私はちゃんと、フィクションと現実の区別ぐらいついてます!」
「どうだかな。自分だけは正常な人間のつもりで人を異常者呼ばわりしたいようだが、
おまえの言う "現実" だって一種のフィクションだ。たとえばおまえの大好きな "努力" で言えば、
"苦難に耐えて目標を達成するために努力する美しい姿" っていうストーリーをおまえを含む世間の連中で演じてるだけだ。
劇を演じるのは勝手だが、人を無理やり舞台に巻き込むのはやめて欲しいものだね。
一方、俺は誰にも迷惑をかけていない。"現実" から独立した別世界を独自に構築して一人静かに味わっているだけだ。
自分が作り出した世界に他人を巻き込むような愚を犯したりはしない。
さて、俺とおまえ、現実とフィクションの区別がついてないのは果たしてどっちかな?」
一方、俺は誰にも迷惑をかけていない。"現実" から独立した別世界を独自に構築して一人静かに味わっているだけだ。
自分が作り出した世界に他人を巻き込むような愚を犯したりはしない。
さて、俺とおまえ、現実とフィクションの区別がついてないのは果たしてどっちかな?」
「あんたに決まってるじゃない。
私は映画やドラマは見るけど、あくまでフィクションとして画面を見てるだけ。
あんたの場合、自分に都合のいい設定の女の子を好きなように作り出して、それを相手にして喜んでるんでしょ? 気持ち悪い!」
あんたの場合、自分に都合のいい設定の女の子を好きなように作り出して、それを相手にして喜んでるんでしょ? 気持ち悪い!」
「いいや、気持ちいいね。誰かみたいなギャーギャー口うるさい女の相手をしてると心が荒んでくるが、
バーチャル世界ではそんな思いをすることなく心が清らかでいられる。生まれてきたことを神に感謝したくなるぜ」
「うわ~、イヤだ。こいつイヤだ。イヤすぎる」
「それともあれか、おまえの言う "現実" ってのは、つまり、俺がおまえのご機嫌取りをする世界ってことか?
やっぱり自分が相手にされないのが悔しいだけなんじゃないか。
"私は正常な人間です!" みたいな言い草で人を異常者呼ばわりしてくれてるが、 "現実" が自分が愛される世界じゃないことが気に入らないから、俺に言いがかりをつけてるんだ。 そういう身勝手な妄想こそ、バーチャル世界で充足してもらいたいものだね。 俺に説教をたれる前に、自分の妄想と "現実" の区別をつけたらどうだ?」
やっぱり自分が相手にされないのが悔しいだけなんじゃないか。
"私は正常な人間です!" みたいな言い草で人を異常者呼ばわりしてくれてるが、 "現実" が自分が愛される世界じゃないことが気に入らないから、俺に言いがかりをつけてるんだ。 そういう身勝手な妄想こそ、バーチャル世界で充足してもらいたいものだね。 俺に説教をたれる前に、自分の妄想と "現実" の区別をつけたらどうだ?」
「あーもう! 聞きたくない聞きたくない!
アンタなんか一生バーチャル世界から出てこられなくなっちゃえばいいのよ!」
アンタなんか一生バーチャル世界から出てこられなくなっちゃえばいいのよ!」