「確かに先輩は正しい。この宇宙の誰よりも正しい。
だから、他の人の気持ちがわからないんだ。
先輩は強すぎて、他の普通の人たちの気持ちがわからないんだ。
私みたいな弱い普通の人間の気持ちがわからないんだ!」
だから、他の人の気持ちがわからないんだ。
先輩は強すぎて、他の普通の人たちの気持ちがわからないんだ。
私みたいな弱い普通の人間の気持ちがわからないんだ!」
「どうしてそんなことを言うの?
私に頼りないって思われたことが気に障ったんでしょう?
だったら、あなたにもあなたの意志と覚悟があるってところを見せて!」
私に頼りないって思われたことが気に障ったんでしょう?
だったら、あなたにもあなたの意志と覚悟があるってところを見せて!」
「無理なこと言わないでよ!
いちいち地球の命運なんて気にしてたら生きてられない」
いちいち地球の命運なんて気にしてたら生きてられない」
「だったら死んでしまえばいい」
「さらっと無茶なこと言わないでよ!」
「そうね。生きてるっていうのは無茶なことなんだろうね。
自分の意志があって、何かを決定するというのは、途方もなく無茶なことなんだろうね。
どうして人間にはそんな無茶な能力があるんだろうね。
こんな意志なんて、捨ててしまいたくなるのも仕方がないのかもしれない」
自分の意志があって、何かを決定するというのは、途方もなく無茶なことなんだろうね。
どうして人間にはそんな無茶な能力があるんだろうね。
こんな意志なんて、捨ててしまいたくなるのも仕方がないのかもしれない」
「そうよ。人間ってのは弱いものなの。
実際、一人の力では何もできない。
自分の身の回りのことを気にするだけで精一杯。誰だって同じ。それが普通なの。
人間なんて所詮そんなもんなのよ」
実際、一人の力では何もできない。
自分の身の回りのことを気にするだけで精一杯。誰だって同じ。それが普通なの。
人間なんて所詮そんなもんなのよ」
「そうだね……。そうなのかもしれないね……。
もしも後藤さんの言う通り、人間というものが "所詮そんなもの" なのだとしたら……。
誰もがスマーティングシステムに意志を預けて、そうして、いつしか……ゆるやかに、地球から人間が姿を消していく。
そんな未来も仕方のないことなのかもしれない」
もしも後藤さんの言う通り、人間というものが "所詮そんなもの" なのだとしたら……。
誰もがスマーティングシステムに意志を預けて、そうして、いつしか……ゆるやかに、地球から人間が姿を消していく。
そんな未来も仕方のないことなのかもしれない」
「そんな嫌味な言い方しなくったっていいじゃない!」
「だって、"人間なんて所詮そんなもの" なんでしょう?」
「私に言わないでよ!」
「あなたが言ったんでしょう?」
「私にどうしろってのよ!
私は神様じゃない! ただの人間なの!
先輩みたいな超人でもない。ただのか弱い一般人なの!
人類の行く末なんて心配できるほどエラくないの!」
私は神様じゃない! ただの人間なの!
先輩みたいな超人でもない。ただのか弱い一般人なの!
人類の行く末なんて心配できるほどエラくないの!」
「だけど、あなただってその人類の一人でしょう?
だったら、その行く末ぐらい心配してもいいじゃない。
神様じゃないと、自分たちのことを心配できないの?
自分たちのことぐらい、自分たちで心配できないかな?
それに、人間自身に心配してもらえないなんて、人類がかわいそうだよ。
"所詮そんなもの" って人間自身に言われちゃうなんて、人間がかわいそうだよ」
だったら、その行く末ぐらい心配してもいいじゃない。
神様じゃないと、自分たちのことを心配できないの?
自分たちのことぐらい、自分たちで心配できないかな?
それに、人間自身に心配してもらえないなんて、人類がかわいそうだよ。
"所詮そんなもの" って人間自身に言われちゃうなんて、人間がかわいそうだよ」
「だからって……私を責めないでよ! 私が何をしたっていうのよ……!」
「責めてる? どうしてそんなふうに思うの?」
「責めてるじゃない!」
「責めてる? 私が? あなたを? そんな……」
「ええ、責めてる。今、あなた、私を、すごく追い詰めてる。
それって責めてるってことでしょう? そうじゃないなら何だって言うの!」
それって責めてるってことでしょう? そうじゃないなら何だって言うの!」
「そうじゃない……そうじゃないの、私はただ……」