「別に、逃げなくても良かったんじゃないか?
マインドルなら得意なんだし、大会に参加してもよかったんじゃないか?」
マインドルなら得意なんだし、大会に参加してもよかったんじゃないか?」
「油断するな、と言ったはずだ」
それは、さっき部室で言った言葉のことだろうか?
「あのようなものに参加して、いくら勝っても負けても、
やつらの手のひらの上で踊らされているだけだ。
そしてそれは、マインドルに価値があるかのように見せかける営みに加担し、 その見せ掛けの価値を再生産することになる」
そしてそれは、マインドルに価値があるかのように見せかける営みに加担し、 その見せ掛けの価値を再生産することになる」
知子の流暢な語り口は、今思いついたことを言っているというふうには聞こえない。
「私の言っていることを大げさだと思うか?
だが、意志のないところで為された行為は我々の手を離れ、一人歩きを始める。
やがてそれは我々1人1人の手に負えないものに成長してしまう。
油断するな、とはそういうことだ。自分が何をしているのか、常に意識を鮮明に保て」
だが、意志のないところで為された行為は我々の手を離れ、一人歩きを始める。
やがてそれは我々1人1人の手に負えないものに成長してしまう。
油断するな、とはそういうことだ。自分が何をしているのか、常に意識を鮮明に保て」
言い終えると、知子は俺を先導するかのように歩き出した。
俺はただついて行くしかない。