「……ごめん」
知子を騙すことになったかどうかと心配していたが、 それは結局、知子にはこちらの意図を見抜く能力がないだろう、と見くびっていたからだ。
相手の能力が不足していると思うから、結果を自分の責任だと思うのだ。
「あやまる必要はない。私は亮介を責めているわけではないんだ。
だが、私に頼みがあったのなら、そのようにはっきりと言って欲しい。
私は気を利かせて相手の意図を知るということができない人間だ。
言いたいことがあるなら、言葉で言ってくれないか?」
だが、私に頼みがあったのなら、そのようにはっきりと言って欲しい。
私は気を利かせて相手の意図を知るということができない人間だ。
言いたいことがあるなら、言葉で言ってくれないか?」
「そうだよな……悪かった」
「さっきも言ったが、あやまる必要はない。これは私からの頼みなんだ。私のわがままで世話をかけてすまない」
違うんだ。
つい謝ってしまったのは、おまえを見下していたことに対してなんだ。
だけど俺は、そうとは言えない。
たった今、言いたいことは言葉で伝えてくれと頼まれたばかりなのに。