「知子は、どうしてマインドルをやってるんだ?」
スナック菓子をつまんでいた知子の手が止まった。
「キリエがやっているからだ」
「……それだけか?」
「そうだな。もしキリエがいなければ私がマインドルをやり始めることもなかっただろう。
そして、もしキリエがこの世からいなくなれば、私がマインドルを続ける理由もなくなる」
そして、もしキリエがこの世からいなくなれば、私がマインドルを続ける理由もなくなる」
「この世から、って、おまえ……」
知子はときどき、おかしな言葉の使い方をする。
今の言い方も、その一種に過ぎないのだろう。おそらく。
知子の視線が、机の上のマインドルの盤へと落ちる。
「マインドルは楽だ。
目的とルールが明確に決まっていて、それに従ってさえいれば、それでいい。
勝つことも負けることも、結局はルールの範囲内の出来事だ。
わかりやすくて、楽だ。
この世の全てがマインドルのように単純であればいいのにといつも思っている」
目的とルールが明確に決まっていて、それに従ってさえいれば、それでいい。
勝つことも負けることも、結局はルールの範囲内の出来事だ。
わかりやすくて、楽だ。
この世の全てがマインドルのように単純であればいいのにといつも思っている」
淡々としたその口調は、以前俺に食玩のフィギュアやスナック菓子の薀蓄を語ったときのものと同じだろうか?
同じのようにも聴こえる。
違うとしたら、どこが違うのか、俺にはわからない。
同じだということにしてしまえば、俺は目の前にわからない他人がいることの不安から逃れられるのだろう。