「あの拡声器の騒音、やめさせることはできないのか?」
先輩をフルネームで呼び捨てにしつつ、ついに知子も「騒音」という言葉を使い始めた。
「ボランティア同好会のこと?」
「そうだ。連中の活動にどんな価値があるのかは知ったことではないが、
あのアナウンスが必要だとはどうしても思えない。
生徒会の指導でやめさせることはできないのか?」
「うーん……。私も個人的には気になってたんだけど、
アナウンスをしちゃいけない、っていう規則は、ないはずだから……。
生徒会からは何も言えない、かな……」
アナウンスをしちゃいけない、っていう規則は、ないはずだから……。
生徒会からは何も言えない、かな……」
「アナウンスをしてはいけないという規則がないだと?
では誰でもあのように拡声器を使ってもいいということか?
あれが許されるということは、 誰もが好き勝手にアナウンスをして、収拾がつかない状況になっても構わないということか?」
では誰でもあのように拡声器を使ってもいいということか?
あれが許されるということは、 誰もが好き勝手にアナウンスをして、収拾がつかない状況になっても構わないということか?」
「それは確かに問題かな……」
「それが問題だということは、そもそも拡声器を使うこと自体が問題だということだ。
私の考えは間違っているか?」
「間違ってないです……」
「おいおい知子、皆月先輩を言い負かしても何にもならないだろ」
「私は正しいことを言ったまでだ」
そうかもしれない。
だが、正しいことを言っても事態は改善しないのだ。
それに、戦う相手が違う。
そして今は相手が皆月先輩だからこうして素直に話を聞いてくれたのであって、 さっきの連中に同じことを言っても、会話が成立するとは思えない。
きっと俺には想像もつかないような仕方で言い返されてしまう。そんな気がしてならない。