それほど激しい運動をしたつもりはない。
人の体重を支えて、階段を少しばかり上っただけ。
以前の自分だったらその程度のことで息が切れたりはしないはずだ。
野球を辞めて以来トレーニングをしていないので、体力が落ちているのだろう。
老化?
老化と呼ぶには年齢的に早すぎるだろう。
けれど、現象としては同じことなのではないだろうか。
トレーニングを再開すれば体力は戻るだろう。
しかし年齢とともに衰えるのは避けられない。
それはきっと、今度の大会でエースに選ばれた彼にとっても同じだ。
仮に将来、野球の一流選手になることができたとしても、選手として活躍できる年齢は限られている。
これも、俺の負け惜しみだろうか?
しかし、俺がそうだった可能性もあるのだ。
だからこれは俺自身のことだ。
では、野球ではなく、別のものならよいのだろうか?
歳をとっても衰えないもの。
きっとあるだろう。いくらでもあるだろう。
だがそれも、程度の問題でしかないのではないだろうか?
なにしろ歳はとるのだ。
どんなに努力して得た能力も、いつかは手放さなければならない。
いつか?
それはいつだろう?