特に何をすると決めているわけではない。帰宅部としての恒例の行動だ。
校門を出て少し歩いたところで、ランニング中の運動部員の一団とすれ違った。
俺は思わず一瞬立ち止まり、走り去る一団の背中を遠い目で眺める。
少し前までは俺もああいう中にいたんだな……。
「折原、気を取られるな!」
俺が見ているものに気付いたのだろう。純ヶ崎が力説を始めた。
「俺たちはああいう連中とは違う世界の住人なんだ。
ときには気後れすることもあるだろう。
部活に打ち込んでいる連中と比べて、自分はこのままでいいのだろうか? とね。
俺もそんなふうに思い悩んだ時期がある。おまえを見ていると昔の自分を見ているようだよ。キミの気持ちはよくわかる。
だが意に介してはならない。
何事にも動じない不屈の精神を養うこと。それが我々帰宅部員としての心構えだ!」
ときには気後れすることもあるだろう。
部活に打ち込んでいる連中と比べて、自分はこのままでいいのだろうか? とね。
俺もそんなふうに思い悩んだ時期がある。おまえを見ていると昔の自分を見ているようだよ。キミの気持ちはよくわかる。
だが意に介してはならない。
何事にも動じない不屈の精神を養うこと。それが我々帰宅部員としての心構えだ!」
毎度ながら大仰な物言いに、俺は思わず軽く笑ってしまった。
「おまえの話を聞いてると、まるで武道か何かの "道" みたいだな。
さしずめ "帰宅道" ってところか?」
「お、いいなそれ。キタクドーか。漢字で書くと "きたくみち" なんだろうけどな」
「その発音だと、普通の帰り道だな」