「亮ちゃん、強いね。私、亮ちゃんに会えてよかった」
キリエがいる。俺がいる。
キリエの手を受けて、手を指し返す。
その瞬間、2つの存在は混ざり合い、1つになっているのだ。
全身でキリエの存在を感じる。
2つの存在が今、確かにこの場を共有しているのだ。
キリエ……そこにいるんだろう?
少なくとも今はまだ、そこにいるんだろう?
こうして手が返ってくることが、おまえがそこにいる証だ。
俺が手を指して、おまえが手を返してくる。
それが、今この瞬間、俺とおまえが関わっていることの証なんだ。
意志を感じる。
返って来る手の1つ1つにキリエの意志を感じる。
指し手に込められた確かな存在感。
遠のいていたキリエの存在を、俺は今、確かに感じている。
キリエも今、俺の存在を感じているだろうか?
いや、感じさせて見せる。
キリエ、俺は今、ここにいるぞ!