広場を見渡す。
行き交う人々の足の間に、同じビラが何枚も落ちている。
その先の一角では、たすきをかけた一団が大きな声を出しながらビラを配っている。
「きっと "いいこと" をしているんだと思うけど……、
でも、配ったビラの大半は、こんなふうに捨てられるんだろうね。
せっかく "いいこと" なのに、こんなつまらない理由で評判が悪くならなければいいけど。
結果的に街を汚している、とかなんとか」
でも、配ったビラの大半は、こんなふうに捨てられるんだろうね。
せっかく "いいこと" なのに、こんなつまらない理由で評判が悪くならなければいいけど。
結果的に街を汚している、とかなんとか」
冷淡な口調で言いながら、キリエは足の下から拾ったビラを丁寧に折りたたんだ。
四つ折りにして、服のポケットに押し込み、バッグの紐を肩にかけ直しながら歩き出す。
が、一歩だけ歩いて止まった。その足の裏で、またも同じビラを踏んでいた。
こうしている間にも広場の一角にあるブースではビラが配られ続けている。
そして、受け取った人のうちの何割かがこうして捨てていってしまうのだろう。
「あー、もう。仕方ないなぁ!」
キリエはカバンを肩から外して小脇に抱え、足元のビラを拾い上げた。
「私は関係ないけど、今視界に入ってる範囲に落ちてるビラだけ拾ってゴミ箱に片付ける!」
苛立たしげに言いながら腰を屈めて、広場に散らばるビラを拾い集め始めた。